STD(性感染症)や子宮の病気は不妊の原因となります

自覚症状に乏しく不妊や子宮外妊娠の原因となる性器クラミジア感染症

骨盤内腹膜炎(PID)の症状

クラミジア・トラコマチスという病原体に主にセックスを介して感染する「性器クラミジア感染症」は、国内で最も患者数が多い性感染症(STD)で、10代から30代の若い世代を中心に約100万人の感染者がいるとされています。

性器クラミジア感染症は、「感染症法(1999年施行)」によって全国に定められた医療機関(定点)からの報告が義務付けられており、その数字を見るとなかでも女性の感染者が急増していることがわかります。

クラミジアの感染者が増える理由の一つとして、女性の場合は特に症状が現れにくいため、本人が知らないままパートナーも感染させてしまうケースが多いという点が挙げられます。女性ではクラミジアに関せしても約80%は、排尿時の違和感やおりものが増えるなどの自覚症状がないといわれています。

自覚症状に乏しいと何度もクラミジアに感染する可能性があり、子宮頸管や卵管など妊娠や出産に関係の深いの器官で炎症が繰り返されるうち、不妊症や早産・流産、子宮外妊娠などの婦人科疾患の原因になることもあります。

また、妊婦さんの感染は出産時に産道感染のリスクがあり、新生児が重篤な肺炎や結膜炎になる恐れがあります。妊婦検診でも健康な妊婦さんの3~5%にクラミジアが検出されることから、注意が必要です。

さらに一般的なカップルにおいて、オーラルセックス(フェラなど)が日常的に行われている近年は、喉にクラミジアが感染して、喉の痛みや腫れ、発熱などの症状を訴える女性が増えています。風邪の症状と似ているため、症状が悪化するまでクラミジア感染の発見が遅れ、治療に時間を要することもあります。

クラミジアと同時に淋病が喉に感染していることも少なくないため、検査の際には必ず双方の菌の検査を行います。それぞれ治療に必要な抗生物質が異なるため、検査を怠るといつまでたっても喉の症状は治まりません。

クラミジア感染症の治療は、抗菌薬(マクロライド系、ニューキノロン系、テトラサイクリン系)の服用が有効ですが、症状が改善したからと服用を自己判断で止めてしまうと、薬剤耐性を持った菌が増殖する原因となります。またパートナーも同時に治療を受けないと、何度も感染を繰り返してしまいます。

現在、マクロライド系の新しい抗菌薬であるアジスロマイシン(製品名:ジスロマック)が、1,000mg×1錠を1日間服用するだけで10日間効果が持続することから、飲み忘れや自己判断による不適切な服用中止を防げるとして、医療機関では第一選択薬として使用(薬物アレルギー等の患者さんは除く)されています。